社員の裁量に任せる

適用は限定的
 労働時間を社員の裁量に任せる「みなし労働時間制」は、実際に働いた時間に関係なく予め定めた時間働いたとみなす制度です。たとえば、1日の労働時間が8時間と定められている場合、実労働時間が6時間でも10時間でも、8時間働いたことになります。「事業場外みなし労働時間制」「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」の3種類で構成されるこの制度は、全労働者の約8.2%が適用を受けているのが現状です(厚生労働省の令和3年調査)。
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「事業場外みなし労働時間制
 管理職の指揮命令が及ばないため正確な労働時間の算出が困難な営業職などに限定されます。時間管理者がいたり、電話やメールなどで指示が可能な場合など、客観的に労働時間の把握ができると判断される場合は使えません。
「専門業務型裁量労働制」
 専門性が高く、業務遂行方法や時間配分などを概ね社員本人に委ねたほうが成果を出しやすい業務に適用されます。研究職や情報処理システム業務者、デザイナー、TVプロデューサー、記者・編集者、弁護士など、厚生労働省令及び大臣告示で規定される19の業務が対象です。
「企画業務型裁量労働制」
 企業の事業運営に関し企画、立案、調査および分析を常とする社員に適用されますが、対象業務を遂行するための知識、経験等を有する必要があります。
以上、「みなし労働時間制」は「効率化や生産性向上につながる」「労務管理が容易になる」「ワークライフバランスにつながる」などのメリットがありますが、一方で「自己管理が苦手な社員にはかえって負担となる」などのデメリットもあります。
適用される社員は限定的であること、客観的な方法での勤務記録や使用者による現認が必要なこと、要件に該当した場合は時間外手当が発生することなどに留意が必要です。
また、労働基準監督署などへの届出や労使委員会の設立が必要な場合もありますので、よく理解、確認したうえで上手に活用したいものです。

(東愛知新聞 2023年2月1日掲載)

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