給与安定や自由な働き方へ

人件費固定化など会社側の利点も
 労働時間を社員の裁量に任せる「みなし労働時間制」と言葉が似ているため誤解されやすい「みなし残業代制」について考えます。この「みなし残業代制」の正式名称は「固定残業代制」。事前に決めた一定時間は残業したものとみなし、定額の残業代が支払われる制度です。法律に明記された制度ではありませんが、労働基準法に違反しないよう運用する必要があります。
 たとえば、労使合意のもと「月の残業を15時間とみなす」と決めておけば、たとえ実際の残業時間が10時間であったとしても15時間分のみなし残業代が支払われるという仕組みです。
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 「残業代を含めた給与の安定」や「自由な働き方」につながると期待されるこの制度は、「人件費の固定化」や「給与計算簡略化」「社員のモチベーションアップ」など、会社側の利点も指摘されています。
 ただ、導入に際し以下の点に留意が必要です。
・規則や労働契約書等に「みなし残業代」について明示し、充分周知を図ること
・事前に決めた一定の時間を超えた分は、別途残業代が必要となること
・36協定で定めた上限時間内に収まっていなければならないこと
・残業時間の清算は1か月単位で行うこと
・基本給・みなし残業代が最低賃金を上回っていること、などです。
 この「みなし残業代制」の採用により出勤管理や残業代管理が楽になる反面、マイナス要因もあり得ます。残業時間が少ない月も予め決められた一定額を支払う必要があるばかりか、みなし残業時間を超えた場合には、追加で残業代を支払わなければならないからです。
 しかし、残業をしてもしなくても一定の残業代が支給される制度の活用によって、テキパキ仕事をする意識の醸成や仕事の効率化が図られるなど効果が認められているのも事実。実効性のある制度といえます。
 ところで、前回(2月1日掲載分)で確認したように「みなし労働時間制」は、労働時間をみなすものですが、「みなし残業代制」(固定残業代制)では残業代をみなします。言葉が似ているものの意味が異なりますので注意し運用したいものです。

(東愛知新聞 2023年2月8日掲載)

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