2種類の「出向」

包括的合意や同意が必要

 人事異動の一種である出向には「転籍」と「在籍」の2種類があります。もともと労働契約を結んでいる会社とは別の会社で働くことになるため、いずれも労働者の同意が必要です。今回はこのふたつについて考えます。
●「転籍出向」…元の会社との雇用契約を終了し、別の会社と新たな労働契約を締結すること。この場合、個別同意が不可欠となります。ただし、親会社から子会社、あるいはグループ会社間の出向で、社内異動と同等と判断される場合は包括的合意(就業規則などに規定があること)で足りるとされています。出向元の労働契約は終了しているため、社員の身分に関する諸々の問題は出向した先の会社での対処となります。2023-04-20_1.png
●「在籍出向」…元の会社に籍を置いたまま他社で勤務すること。就業規則など包括的合意が存在することで同意とみなされます。ただし、出向の必要性や人選の合理性がない場合、また社員の不利益が相当程度大きいと判断される場合は無効となることもあります。2023-04-20_2.png
 この在籍出向の場合、出向元・出向先・労働者の三者が契約主体となるため、労働基準法の適用がどこに及ぶのか、多角的な判断が必要です。
 厚生労働省からは「出向元、出向先の権限に応じ、それぞれがその責を負う」と通達されており、出向元が賃金を払っているケースでは賃金や社員の身分にかかわることは出向元が、労働時間や安全衛生に関することなどは出向先が責任を負うことが多くなります。一方、出向先が賃金を払っている場合は、出向先が多くの責任を負うと解釈するのが一般的。いずれにしても、個々の対応となるため契約や法律対応は単純ではありません。
 出向規程などでルールをしっかりと定めた上よく話し合い、出向元・出向先・労働者の三者が気持ちよく働ける環境を築いていきたいものです。

(東愛知新聞 2023年4月19日掲載)


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