社員原因の損害対処に枠組みあり

事実の確認と弁明機会必要
懲戒処分の意味と制限の理解を

 先週は「懲戒処分」を取り上げましたが、今回は社員の重大な不注意や勤務不良により生じた会社の損害に対する対処について考えます。2023-05-09 085829_1
●「減給」:労働基準法では以下の制限基準が設けられています。
・1回の事案に対する減給の総額は、平均賃金1日分の半額以内。
・1賃金支払期間に対しての減額総額は賃金総額の10%まで。
※例えば、月給20万円(20日勤務)の場合、減給処分の上限は1日5,000円(1万円の半額)、1か月20,000円(20万円の10%)が上限の目安です。
※なお、不祥事1件に対し重ねて懲戒を行うことはできません。例えば、遅刻についての始末書不提出を理由にさらに減給を重ねることは不可です。
●「降格」:職責などを下げることに伴う給与の減額は認められます。ただし、降格後の仕事内容が従前と同じで賃金のみ減額される場合は「減給」とみなされ、労働基準法が適用されます。
●「昇給停止」など:昇給の停止は人事権の行使と判断され「減給」に相当しません。また、遅刻や早退などで実際に働いてない時間の給与を減額するのは、ノーワークノーペイの原則に従い「減給」に当たりません。出勤停止による勤務日数減も同様です。
●「損害賠償」:会社にとって重大な損失(物品にかぎらず金員や信用を含む)があり、その損害の賠償(弁償)を求めようとする場合でも、実際の被害をそのまま社員から徴収することは困難です。過去の判例では、会社の教育指導の徹底状況や業務上の負荷などが考慮され、損害賠償額が減額されるケースが大半となっています。
 いずれにしても、事実の確認と当事者の弁明機会は欠かせませんし、処分によって何が達成されるのか、会社をどうしたいのか、よく考える必要があります。就業規則などはそうしたことまで配慮し運営することが大切ではないでしょうか。

(東愛知新聞 2023年5月3日掲載)

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