第三者行為の災害

労災について考える③

 3週連続で労働災害(労災)について考えます。労災には、さまざまな関係者が登場します。一般的には、「会社」「社員」「病院」「政府(厚生労働省・労働基準監督署)」です。
 しかし、単独で起こるとは限らないのが労災。他者の過失によって引き起こされることもあります。これを「第三者行為災害」と称しますが、そのときの労災と損害賠償との兼ね合いはどうなるのでしょうか。
 まず、被災労働者は「政府へ労災保険の請求をおこなうこと」も「加害者に治療費等を請求すること」もできます。ただ、両方から給付を受けてしまうと実際の損害を超えてしまいます。そこで対応が二つに分かれます。
●政府が先に労災保険を支給した場合
 被災労働者の「損害賠償請求権」を政府に移動(預けること)し、政府が労災保険給付額の限度内で加害者に求償します。2023-06-07.png
●加害者が先に損害賠償した場合
 政府は賠償された金額を除き、必要な労災の給付を行います。
 ちなみに、第三者行為災害で最も多いのが自動車事故によるもの。通常、自賠責保険や任意自動車保険が適用されますが、両取りはできません。各保険間での調整がおこなわれますが、被災労働者と加害者の間で示談が成立し示談額以外の損害賠償請求権が放棄されると労災が給付されなくなる原則がありますので注意が必要です。2023-06-07_2.png
 自賠責保険と労災保険のどちらにするかは、被災労働者自身の意思によりますが、労災保険よりも有利な点が多いのは自賠責保険。迅速に損害賠償の支払いがなされる「仮払金制度」や、労災保険では行われない「慰謝料」の支給があり、休業補償は100%(労災保険は80%)となっています。
 誰もが、加害者にも被害者にもなりたくありません。仕事に限らず、安全に留意した行動を習慣づけたいものです。

(東愛知新聞 2023年6月7日掲載)

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