増加傾向にある個別労働紛争

服務規律などの見直しを

労使紛争について①

 しばしば「生物多様性」という言葉を耳にします。これは多様な存在への理解と共生を意味するものですが、人の考え方や感じ方も多彩。年齢や性別、キャリアばかりか、生い立ちや価値観など十人十色です。個性ある人々が一致団結して業務する会社の中で、行き違いや見解の相違が生まれ労働問題が惹起する理由です。こうしたトラブルを労働紛争といいますが、労働紛争には「集団的労働紛争(会社と労働組合との団体交渉上の争い)」と「個別労働紛争(会社と労働者個々人との争い)」の2種類があります。25318312_m.jpg
 今回は近年増加傾向にある個別労働紛争について考えます。
 労働問題で多くの人々が思いつく「労働基準監督署」は、労働基準法や最低賃金法などに違反しないよう指導や取り締まりを行う機関。ただ、法令にない事柄に介入することはありません。たとえば、解雇時30日前の予告手当や、解雇禁止規定についての指導は行いますが、業務上横領を理由とした解雇理由の妥当性などについては、個別事項として判断を留保します。
 また、「労働局」には、法律や判例に基づき相談に応じる「総合労働相談コーナー」があり、助言や指導のほか、公正中立な専門家による斡旋などが行われています。労使双方に歩み寄りがあり費用や時間をかけたくない場合に適しています。
 さらに、「裁判所」では、通常の裁判の他に労働問題を迅速に解決するための「労働審判」なる制度があります。基本的に3回の期日で審理され比較的短期間に結論が出されるうえ、法的拘束力を有していますが、事実認定を伴うこと、費用負担や手間が生じることを考えると、労使双方の見解が異なるときや事情が複雑な場合などに適しています。
 こうした労働問題を防ぐには、服務規律や人事考課規程などの点検が欠かせません。懲戒事由を明確に定めるとともに、就労時間や休日について管理する方法を確立するなど、具体的な管理規定が必要。主張し合うだけでなく調和を図ることも大切です。双方を思いやり、より働き易い職場環境を築いていきたいものです。

東愛知新聞 2023年8月23日掲載
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