時代変化にデジタル給与

多様な労働者へ対応
「賃金支払いの5原則」
労使共通の課題

 「デジタル賃金」の来年4月解禁に向け、厚生労働省の審議会が省令改正案を了承するなど、実現への環境整備が進んでいます。「デジタル賃金」(デジタルペイロール)とは、スマートフォンの決済アプリや電子マネーを利用し賃金を取り扱う制度のこと。銀行口座などを介さないため、手数料が低減される可能性が示唆されています。また、口座開設手続きが複雑な外国人労働者への支払い手段としても注目されているところです。スマホ決済アプリに直接入金されるため、ダイレクトに買い物利用できる利便性が評価され、世界的に広がりつつあるのが現状。その課題について考えてみました。スクリーンショット 2023-02-07 114929

 労働基準法には以下の「賃金支払い5原則」が定められています。

 ①通貨で支払う②直接労働者に支払う③その全額を支払う④毎月1回以上支払う⑤一定の期間を定めて支払う-という決まりです。しかし、例外もあります。

 その代表が「銀行振り込み」(ゆうちょ銀行送金を含む)。これは例外措置のひとつなのです。昭和中期までの会社がそうであったように、現金を封筒に入れ直接渡すのが原則。「銀行振り込み」は時代の変化が導いた例外なのです。

 アメリカをはじめイギリス、中国、韓国で急速に進んでいるキャッシュレス化は、同様に時代の変化に即応したもので、日本政府も「キャッシュレス決済の普及」を成長戦略のひとつに掲げています。

 アプリの上限残高をはじめ、働く者の同意や事業者の審査といった運用上クリアしなければならない要件のほか、ペイオフ制度に準じた補償制度をどうするかなど課題もありますが、大きく前進したかたちとなりました。

今後、「d払い」「ペイパル」「LINE Pay」「au PAY」「メルペイ」「R Pay(楽天ペイ)」「PayPay」「Kyash」など、スマホ決済アプリで賃金を取り扱う時代がやってくることは間違いありません。支払い方や受け取り方は、時代とともに変化する労使共通の課題と考えたいものです。


(東愛知新聞 2022年11月2日掲載)

スポンサーサイト



コメント

非公開コメント