働き方を左右する「年収の壁」

基準ライン130万円

社会保険の被扶養者

 収入を意識し扶養の範囲内で働く「年収の壁」が世間を騒がしています。被扶養者となることで、健康保険や配偶者の国民年金保険料が支払不要になるからです。今回は、社会保険に関係する「年収の壁」の内、130万円の壁について考えます。
 「年収の壁」は多様で複雑。ともすれば混同しがちですが、大きく「所得税法上の壁」と「社会保険上の壁」の2種類に分けられます。社会保険には「106万円の壁」と「130万円の壁」があり、130万円は社会保険の被扶養者になるかならないかの基準ラインです。24386632.jpg
 年間の合計額で判断する所得税に対し、将来の見込み収入額で判断するのが社会保険。例えば、失業給付金を受ける場合、日額3,612円(130万円÷360日/年)以上となると、年間収入130万円超とみなし、受給している期間は扶養になれないという具合です。
 国民皆保険制度が備わっている日本では、すべての人が「会社の社会保険に加入する」「国民健康保険や国民年金に加入する」「社会保険の被扶養者となる」のいずれかに該当することとなりますが、社会保険の被扶養者は、保険料の支払いなく「医療保険」に加入できることに加え、配偶者は第3号被保険者として負担は生じません。
 なおこの場合、病気などで仕事を休まなければならないケースでは、休業時の賃金補填をおこなう傷病手当金は支給されません。さらに、将来的な老齢時の年金額は少額(令和5年度満額795,000円)となります。こうしたデメリットを解消するために、労働日数や時間を増やし社会保険に加入するケースがある一方で、目先の収入や出費を意識して、働き控えが起こっているのも事実。そこで政府は、パート・アルバイトで働く方の年収の壁に対する意識への対応として、「年収の壁・支援強化パッケージ」を打ち出しました。「106万円の壁」には助成金を、「130万円の壁」には、事業主の証明による被扶養者認定の円滑化を促すというものです。
 現在、厚生労働省HPでは、「今後、所要の手続きを経たうえで、関係者と連携し、着実に進めていくこととしています。」と記しています。今後の動きに注目が必要です。

東愛知新聞 2023年10月18日掲載
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