労働者一人から加入義務

労災と雇用合わせ
労働保険のしくみ

 戦前の日本では労働者保護の観点が乏しく、対策は経営者が与える恩恵的な位置づけとなっていた、と厚生労働省は振り返っています。その考え方が変わる起点となったのが、昭和22年9月に制定された労働基準法。労働条件の最低基準を定めた画期的な法律でした。

 その後労働者保護施策は進み、「労災保険」(労働者災害補償保険)と「雇用保険」によって構成される公的保険としての労働保険が確立、現在に至っています。

 一人以上の労働者がいるすべての事業場、それぞれに加入義務が生じるのが労働保険ですが、事業場とは反復継続して仕事が行われる拠点を指します。つまり、場所が異なれば個別の手続きが必要で、本社で一括加入すれば済むという性格のものではありませんが、労働保険の手続きを行うことのできる適任者が支店や工場、営業所、出張所などにいないなど相応の理由があれば、組織上上位の事業場で包括手続きを行うことも可能となっています。

 また、「労災保険」の手続きは、労働者が担う仕事が継続事業か有期事業かによって申告書などが異なりますので注意が必要です。
・継続事業=期間が予定されていない事業
・有期事業=建設や林業の事業のように、一定の予定期間内に所定の事業目的を達成して終了する事業

 なお、「労災保険」と「雇用保険」は目的や役割が異なりますが、保険料の申告・納付は一緒に取り扱われることが大半で、これを「一元適用事業」といいます。20240215.jpg

 一方、「二元適用事業」に該当するのは、建設の事業など。雇用関係は無期でありながら建設物の完成に伴い事業場が変わっていくため、雇用は無期で事業は有期となるなど、雇用保険と労災保険を個別に取り扱う必要のある場合が該当します。

 いずれも、戦後80年に及ばんとする長い時間の中で培われた制度であり、多くの労働者や経営者の苦心の産物であることに想いを馳せ適正に取り扱いたいものです。

東愛知新聞 2024年2月14日掲載
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